2008/12/29
感情と身体の自由を君はここまで手に入れたのだ。来年は本公演で役者の自由を表出するわけだから、呼吸して、呼吸して、活き活きと舞台に生きることだ。


稽古納め。稽古の後に皆でT田邸にて、納会。美味しい七面鳥に舌鼓を打つ。稽古、稽古で走った一年、つかの間の深呼吸をさせてもらった。
とにかく稽古納め、年の初めから参加しはじめた役者も数回の参加の役者も久しぶりの参加の役者も、とにかく今日の2時間で到達できるところまで挑んでくれればと連続した課題1時間。休憩5分。エチュードにも連続性を持たせて、残り1時間一気に。参加者11名、見学2名。
まず、今年一番の課題としていた声の鍛錬。声は役者の武器であり、役者の絶対条件である。心が声にのり、声で表現をするために、ここの誰もがそれぞれの声を早く、できるだけ早く手に入れてほしい、と想っている。稽古以外の会話を聴いても「役者の声」で会話が進むような、声が欲しい。
ブリッジ歩行による発声。鍛錬された身体も欲しい。Yき、Mもと、Kさわくん、N山さん、S田くん強い声になった。Kさわくんは身体能力も高いので、さらに鍛えていく自主性もほしい。今のうちに急速に進歩してしまえばいい。
Sらさん、発声訓練をしている声、しかし、身体と繋がっていない。身体を強化して、もっと自由なあなたらしい声にしていこう。Mなさん、発声ができていないので、来年からは発声の強化をしていこう。頭に抜ける声。S井くん、とにかく声を鍛えたい。Kちゃん、声はできているが、油断せずに鍛え続けてほしいと想った。U杉くん、声と身体の連動。声のためにも身体のためにも身体の基本的な鍛錬が必要。腹筋が弱い。Mき、基礎体力をつけること。声があまりに弱い。続いて、四股発声。声を渡していく。役者として、ぶれない身体の軸がほしい。四股も美しく、立ち姿も美しく。まだまだ不安定。
四股から強い怒り、許せない想い。感情を動かしていく。強い怒りを舞台中央に集める。感情が上がっていく。それが身体に表現されていく、さらに表現していくことを念頭に。芝居はひとりひとりが確実にそれを表現すること、そして、全体として、さらに膨らんだ表現になることだ。役者同志が触発、刺激しあうことも大いに結構。探り合うことのないいいものが見えた。怒りの集約、声。そこから、赦す。役者の感情の変化を丁寧に追い、変化させる、その過程が課題。さらに、怒りの再燃まで。U杉くん、Mなさん、感情を途切れさせたり、迷ったりと持続しない。感情はどういう経路を辿ってもいい。執着して、到達させることだ。S井くん、S田くんの感情の動きは実に繊細でいい。Mもとは、もっともっとメリハリのある変化がみたい。Mき、頭で考えすぎている。もっと柔らかく、素直に。Yき、自然に感情が動くときと計算しているときがわかりすぎる。滑らかにその両方を繋げるのだよ。Sらさん、まだまだ感情が動き切れていない。訓練。Kさわくん、なかなかいい。N山さん、非常にエキセントリックな表現だが、あたしはいいと想う。あなたは普通を目指さなくていい。Kちゃん、テクニカルすぎる面が気になる。とことんその感情になってみること、そこに身についている表現のテクニックをのせることだと想うよ。さらに殺意、殺意の実行、後悔、諦め、落胆、心神喪失、発狂まで。役者として、感情の変化を体感することができたか、否か。ひとつ、補足しておきたいこと、感情の訓練の中の実感ということ、殺意を実行に移すとき、相手が見えること、相手の肌やぬくもりや表情や殺すという行為の実感。さらに考えて追求してほしい。無対象行動は、マイムではないと想う、実感さえもてば、できる。心身喪失、発狂。今日の課題をこなせていければ、かならず辿り着ける。それ風のことではなく、辿り着ける。今日の参加者はモチベーションが高くて、それぞれに実感、体感できたはずだ。そこから、役者自身に戻り、佇む。佇みの中にそれぞれの魅力が表出したい。息苦しい。役者自身の緊張は観客席を緊張させてしまう。繰り返す。次第にそれぞれが魅力的になってくる。日々、役者であることを常に意識して生きること。センスも魅力も哲学もすべて、その佇まいに見せていけるような、役者になれ。
観客席に話し掛ける。語る。これは、役者としての意識を刺激していくための訓練。観客席の存在を意識していくための訓練。こういうことを繰り返すことで、観客席との距離感や求められることが、意識されていく。続いて、ひとりの役者の言葉からの反応。言葉からのイメージの伝搬。空気を生む訓練。S井くんから。Kさわくんから。感じること、そして、言葉を発することだ。声を考えてほしかったので、叫びの指示をしてみたが、叶わず。言葉を伝えていくこととは?あたしたちが見せていきたいものは、あくまでも表現である。届かないものではいけない。突然、閉じこめられていく。実感の訓練。のようなものでは納得ができない、止める。再度。とてもいいものになった。閉じこめられた状態での会話。言葉を発する度に、それは本当に近づかなければいけない。さらに、火。加算されていく状況への反応。身体的な苦痛と精神的な苦痛。まだまだ実感が足りていない。さらに、火だるまになったまま、佇むまで。見えない火をどう表現して、見せていくかの課題だ。Mもと、秀逸。火だるま11名までまだまだ、もっとだ。破壊。壊す、とことん壊す。壊れていったときに感じる真空状態、そして、壊れることの表現。あたしはナイフのような「狂気」が提出したい。日常なんていらない。非日常が舞台の上では起こらなければ。泥酔。酔う表現。さらにシーンにする。面白くすると指示。泥酔を面白くみせていくことの言葉、行動のセンス。なかなか面白くなっていかない。続いて、酒乱。思い切りが足りない。泥酔者の行進。酔っぱらいの歩行。
もっと研究、観察してほしい。そのまま、目が据わり、佇む。連続していくと次第によくなっていく。壮観だった。そのまま、観客席を煽る。
観客との距離、観客を揺さぶる言葉の飛ばし方。そういうことを探りたい。
ちまちまとやらずに挑んでいくこと。さらに、役者同士で煽りあう。引かずに挑んでいけ。相手を変えて、3連発。目、言葉。Mな、Sらさん切り取る。
Mなさんのスイッチが入った。さらに他の役者たちが加わっていく。
Mなさん、全開。非常によかった。エリアを走り回った感覚を忘れずに。
踊る。自由に発散し、そして表現すること。役者として踊れていたか?S田くん、Mもと非常によかった。Mき、Mな、Sら、N山さんの女優陣、そのへんのクラブやディスコの意識ではダメ。表現だ。U杉くん、発散の天井を突き抜けてほしい。Kさわくん、よく動けるようになったな。楽しそうだった。Kちゃん、もっと空気に入ってしまえばいい。
役作りのエチュード。娼婦とやくざ。役作りをしていくための背景。なぜ、あなたはここにいるのか?今日はどんな日なのか?誰かの、その時の状況にのって小手先の言動だけではシーンに深みがでていかなかった。
役によるエチュードも今後も続けたい。
続いて、秋波。射止める、落とす。人生のいわばテクニック。人間なんて綺麗事ばかりじゃないでしょ?邪悪な空気、邪悪な目が欲しかった。
続いて、愛情。愛情を相手に伝える。空気を創る。さらに、シーンを作ってみる。愛情を感じたら、抱擁まで。
精神病院に入れられる。これも役作り、シーン作りの課題。経験のないことは想像力で埋めるしかない。想像したことを、次に表現してみる。S井くんの発想、拘りがよかった。ただ、それはそういう人っているよね、で終わり、さらに追求してみたら、もっと納得ができた。Mきのよくある表現は形にとどまり、いただけない。やるなら、徹底してやろう。
奇妙な部屋。部屋に帰ると知らない他者がいる。リアリズムのエチュード。リアリズムを重ねることで不条理に到達したいとあたしは待っている。
それぞれに部屋の実感はできてきた。他の人への反応をもっと細かく、かな。
次回に期待。足りないのは、自分の部屋に他人がいることの実感だね。
身体表現。今日は、Dぶさんの音、非常に技巧的なものだった。役者と音の融合ということを考えれば、壁を作りすぎた音の感。その中での表現は非常に難解だったね。今日は不発。役者も自由になれていなかった。
最後は恒例相関図。Sらさん、Mもとの愛情表現から。とても綺麗な抱擁だった。Sらさんの反応、男性たちの反応よかった。Mもとの女性たちへの交わし、本命がよく見えた。Mもとのシーン作りの進歩に感心した。たとえ即興であれ、こういう作業ができるようになるのは、素晴らしいことなのだ。
女性たちの感情がもう少しはっきり見えるとよかった。Sらさんの戸惑い、嫌悪がよかった。今日の相関図、完成度高かったと、稽古納め、気分上々。
以上。
さらに稽古は続きます。
休みません。
新年5日より開始。
どうぞ、ご自身のペースで参加しにきてね。