2009/02/09
自由な心を手に入れろ。


久しぶりに稽古のみに集中できた一日だった。夜遅くまで追い込みの塾に通う娘のための夕食も作り、冷蔵庫に入れて。人を育てることは難しい。そんなことを想う日中だった。開かれた稽古場、参加者8名、見学1名。今日ははじめての参加者2名を含んで、開始。
まず、稽古の軸を話す。声、感情、身体の自由ということ。ここに参加していくことで、自由を手に入れてほしいのだ。誰でもない誰かになり、規則的な歩行。
役者それぞれから自意識を取り除くために。今回は、身体としての規則のある動きも意識してほしいと考え、歩幅、目線、スピードの指示を加える。誰でもない 誰かに見えるための要素も必要なのだ。初参加のIとうくん、M川くんがなかなかいい。しかし、Iとうくんにみえる自意識と何かを表現しようとする意識が もっともっと取り除きたい。これは、早く腑に落ちてくれれば、彼はとてもよくなりそうだ。Mもとはいいので、さらに先にいきたい。Sたくんには、どこか表 面的な表現みたいなものがあるので、これは中身をさらにニュートラルにできればいいバランスになる。Kさわは思いの外、自意識が強い。これはきっと真剣に 役者になろうとする志の表れであり、焦りである。だから、いいことであるが、自惚れと同様、自信のなさは歩みを遅くしてしまう。素直にただ自身の中からの 自意識を取り除くことに集中してほしい。ひとつずつ、身につけるしかないのだ。本物になるために。連続して、それぞれの役者になり、歩き、佇む。役者とし ての意識。それぞれに魅力的でありたい。Mもとは、まだまだ堅い。もっと確固たるものにならなければ。S田くんがいい。宇常に想像力が働き、心が動くよう になってきた。Iとうくんは、そこにただ、立っていられない。しきりに頭を触る。心に宇宙をもつこと。魅力的なひとになることだ。M川くんはある夢があ る。それはそれはスケールの大きな夢、だからか?彼は水のように自由だ。役者としてのさまざまなことにこの自由さを繋げてやりたい。とてもいい。Kさわ、 とにかくみえる焦り。焦ってもやらなければ、身につかないよ。やる、とにかくやる。それしかないよ。U杉くん、中身をもっと埋めていけ。中身が薄い。N山 さん、これまで稽古してきたことが何も身についていない。彼女のしているつもりの結果だ。稽古に真剣に向き合う日がくるまではだめだ。すべてにおいて。
強い怒りをもって歩く。何に対しての怒りなのか?と声を投げていく。怒りの対象が見えてこない。強い怒りのオーラが立ちのぼらない。イライラする。Iとう くんは、心が動かない、動かないことをこの場への疑問に変えてしまう。これは非常によくないことだ。とにかく、心を動かしていくこと、それによって、見え てくることに出逢うのだから。U杉くん、なかなか動かないね。怒りの対象を決めること。Mもと、今回は稽古参加が飛び飛びになっていることで、ぬるさを随 所に感じた。保つこと、そこからさらに上がることだ。忘れるな。全員、イメージが足りない。
怒りを納める、佇む。感情の動線を作ることだ。怒りを収めるのは、怒りを収める作業が必要。身体を落ち着かせ、心を落ち着かせる。これを丁寧にやること。 再度、強い怒りをもつ。この繰り返しによって、感情の動きを各自の中で確実に感じてほしいための連続課題。心を動かしていくことは簡単ではないが、N山の あまりに表面的な表現はダメすぎる。何もできていない。心してほしい。さらに、強い怒りを他者とぶつけあい、シーンドライブ。M川くん、Iとうくんが傍観 している。これではいかんと止めて、アドバイス。Iとうくんが果敢にシーンを動かしはじめた。こういう瞬間が嬉しい。それだ、それしかないのだ。で、とて もいい。ただ、押せ押せのみでもったいない。再度、止め、アドバイスする。すぐにはできないだろうけれど、感情の機微が出てきたら、いい役者になりそう だ。M川くん、自由だ。Kさわ、何に怯んだのか?失速する。舞台の上で、諦めてはいけない。Mもとの切れが悪い。どうした?
N山さん、心がない、口先ばかり、芝居はそんなものではない。皆の心が動き、シーンが動いていたので、止めて、黙っていろとダメをだす。心が動くまで、 黙っていてほしい。U杉は反応がいい。いい役者がいるとそれに反応して、リトマス試験紙のように変わる。怒りが集まってきたところで、壁のエチュードに変 える。四方からの壁。閉じこめられる。想像力による実感の訓練。あたしの指定する箱は1,5メートル四方の小さな箱。そこに閉じ込められる実感。まず、迫 り来る壁を感じること。それぞれの実感がもっとできたら、もっといい。まだ「のようなこと」だな。さらに、時間経過。1週間、3ヶ月、6ヶ月。身体の実感 とともに神経の実感。どこまで想像していけるかだと想う。それぞれに何を感じたか?
そして、解き放たれる。壁が消える。身体は動かなくても、意識はできたか?
ひとり、M川くん、動き出す。これも彼なりの実感。よかった。
続いて、大きな喜び。動かしやすい感情の流れを考えて、課題を作っている。前の課題からの延長にあった喜びだったので、皆、活き活きとできた。喜びを舞台 中央に集める、手により、笑う。これはとても活き活きしたシーンになった。けれど、あたしの作りたいのは、ここは象徴的なシーン。なぜ、舞台真ん中、つま り、さっきの箱の場所なのか。喜びのモチーフが創りたかった。失敗。笑。これは、あたしが整えればいいことだ。
続いて、殺意。殺意をもって歩く。佇む。赦す。さらに、殺意を持つ。動きを指定して、殺意の実行。感情を動かすこと、想像力で感情を創ること、さらにそれ を動きの中で、見せていくことを課題にする。Mもと、鈍い。S田くん、非常にいい。感情が凝縮されるようになった。Iとうくんはいいのだが、中身がもっと ほしい。蠢く感情がもっとほしい。そうすれば、もっとよくなるよ。
M川くん、これは自由さだけではうまくいかなかった。想像力で、感情を創ることをこれから覚えていこう。Kさわは、よくなったいる。だが、もっと貪欲にい け。N山さん、心が動いていない。表面的すぎる。まわりの感情が動けば動くほど、動いていないものは見えてしまう。怖れた方がいいね。U杉、いい顔だっ た。
さらに続けて、後悔、絶望まで。各自の心の変化がもっと見えたい。追いやすい感情で組み立てている。果敢に挑め。
さらに破壊する。心を壊し、さらに身体も壊す。これは身体を自由にしていきたい。はじめてのIとうくん、M川くんはまだ探りすぎ。集中して、壊れてみて。そこから。
さて、これにはあたしの求めている到達点がある。待っていたが、辿り着かない。破壊のあとの喪失感がほしいのだ。真空状態がほしいのだ。ということで、今回はそこまでトライ。S田くん、いいね。これはMもともよかった。やっとエンジンかかったのか?
続けて、発狂とか狂うとかに繋げてみる。とにかく狂ってみることだと想うんだな。迷っていても探っていてもだめだと想う。いいものがみたい。
そのまま、精神病者の吹きだまり。Iとうくん、M川くん、S田くんよかった。いい人がいると何もしていない人は見えない。
さらに奇妙な部屋。自分の部屋に他人が7人いる。リアリズムで、結果としてシーンを面白くしたい。それぞれに他者への反応、拘りが見えてこないので、指示 を入れて、3連発。最終的にはどうしてもここは自分の部屋であり、なんとしても他者は追い出す。自分は断固として出ていかないと指示。少し、成立したか な。
次に泥酔者の吹きだまり。酔う。日常の観察と訓練をしろ。稽古をしていてむなしいのは、ただ、この時間だけでやっていること。日常にダメを見直し、やってほしい。次回は見事に酔っぱらいがみたいと何度想っているかな。
Kさわはよくなってきたね。N山さんはまったく出来ていない。やっていないからだ。どんなに可笑しいか。まったくお話にならない。
まず、酔っぱらいの歩きからだ。歩いてみる。酔っぱらいの行進。だめだめ。
シーン創りも面白くない!
続いて、役作りのために行進。軍隊。舞台奥、舞台ツラから。Kさわは何をやっているんだ、と愕然とする。研究して、動かなければできっこないよ。拍車かけろ。それぞれに中途半端だ。とことんやることを覚えてほしいね。
Kさわ、心を入れ替えて今日から行進すること。
役を創れるようにならなければ。
身体表現。今日の音はあるアーティストの作品。いい音だ。これと溶け込み、陶酔していきたい。M川くんはイメージをみた。それは集中していた。あり。
Kさわもだいぶ音と溶け込めるようになった。Iとうくんははじめてで、また戸惑い。U杉、動いていくこと。何度も書いているよ。Mもと、形になりつつあ る。S田くんは入り込んでいけて、いい。Mなちゃん、とにかく音はない。だめ。N山さん、どうしてそんなに動けませんか?
今日は全体の関係性もなく、仕上がり悪し。
最後に恒例、相関図。IとうくんとMなちゃんから。Kさわの心が見えない。U杉くんはいい。S田くん、シーンになると心が見えない。必死さがほしい。N山 さんの心のなさ。どうして。指示をして、流れを変えてみる。Iとうくん、シーン創りはうまいが、心が弱い。器用なだけじゃだめだね。
流れを変えたのに、N山さんの心に変化が見えない。Mなちゃんに指示を加える。なかなかできない。決める、実行する。再度、指示。Mもとを選ぶ。その時の心がIとうくんに見えなかった。ここ、肝心。
U杉、S田の反応よい。N山さん、最後まで淡々。つまらない。
以上。

この稽古場にくるまでに日々、貪欲に過ごしてほしい。
山のような役者がいるのだよ。
もっと芝居と真っ向勝負しろ、ってんだ!