2009/02/23
心を開いてみるために。ちょっと心を抉ってみる。


「イリノイのリンカン」稽古場。昨日から吉祥寺の稽古場で落ち着いた。これから本番まで、ここで切磋琢磨といきたい。大所帯なので、それぞれの健康と精神状態に気を配っていきたい。大人数いれば、それだけの人の心があるってことだしなあ。
さて、稽古場移動の乾杯を途中で失礼して、あたしは開かれた稽古場へ。吉祥寺から浅草橋までのはじからはじまで。稽古大好きだから、こういう移動は苦じゃないのだ。
開かれた稽古場、参加者10名。イリノイのリンカンからの続いての参加者もありで、活気のある稽古場になった。初参加の歌い手さん1名。見学1名。
今日は、とにかく心を開いていくための進行にしたかった。ちょっぴり抉っていこうと想った。役作りをするためには、頭の柔軟性よりも心の柔軟性だとリンカ ンの稽古を観ていて再確認している。まずは誰かになる。誰かになって、立つ。誰かになって、声を出す。声は人を表現する。声はとても大切だ。Hくんは声で 誰かを表現しようとしていた。好感。そして、歩く。まず、規則的に、さらに自由に。役になるということを繰り返していくことで覚えてほしい。ある人物を具 体的に。それは、癖であったり、その人物の生い立ちや経験であったり。等身大の自分の持つ経験や感情だけに終わらないこと。続いて、役としてシーンを作 る。Kさわがよかった。とにかく果敢に挑むこと、まず大事。次にそれをどう表現していくか、の表現力を鍛えたい。Yしき、役になるということがわかってい ない。中身がない。表面的なことだけでは、シーンは動いていかない。回りもぬるくて、全然シーンが淀む。何度も止めて、声を飛ばしていく。Mな、Mく、こ こは学校ではない。やろうとする意思が弱すぎる。ここは芝居の稽古場だ。甘えるな。S田くん、頭で考えない。誰かになる。U杉くんもしかり。N山さんもし かり。役を作るということ、諦めずに叩き込みたい。ゼロからだ。シーンを続けてみるが、誰もが不在なので、シーンはまったくできなかった。M川くんは、実 感がない。発想だけではつまらん。Yきの雰囲気作りの巧さはよかった。変身することとは、まずそういうところからだと想った。
続いて、感情の訓練。深い哀しみを。今日はしつこく繰り返す。もっともっとと煽っていく。なぜ哀しいという感情になるのか?情景を想像していく。具体的にはっきりと原因を想像すること。繰り返すことで、積み重なる感情を大事にしていきたい。
そして、それが観客席に伝わるまで、強い、はっきりしたものになるまで。
しつこく、しつこく繰り返した。繰り返すことで、重なっていくが、途切れ、焦る。それでもしつこく繰り返してみた。さらにその感情で佇んでみる。歩いてみ る。身体の変化を感じてほしい。心の震えを感じてほしい。自分から発信した感情を自分でもう一度見る、感じる、掴まえるのだ。N山さんは気持ちが動かな い。あきらめずに、表面的に帳尻をあわせようとしないことだ。表面的なことはいくら重ねても重ならない。S田くんは、いいのだけれど、ある限界を超えてい けないことがわかった。そこを突き破らなければ、面白くない。U杉の心は動いていない。理屈じゃないのだ。心を動かすということだ。Yしき、心があるの か?この生業をしていて、心をなくしていくのは、よくない。心をもう一度開いていこう。心を伝え合うこと、それしかないんだよ。
さらにしつこく、哀しみを集めてみる。徹底していきたい。Yき、もっとつきつめていけたら、よさそうだ。Hくんは感情を大事にしはじめた。好感。
Mな、Mきただそこにいてはだめ。
続いて、感情を転化していく。希望。希望を心にもつ。沸き立つような明るい波動がほしい。見えない。希望も大きな大きなものでなければ、観客席につたわっていかない。すべての感情が溢れるまで。しつこく、しつこく。もっと。
希望を集める。希望を表現してみる。全員思い切りが足りない。表現する、共演者同士で高め合う。相乗効果をもっともっと。小さい。
そのまま、箱に閉じこめられていく。感情の変化。奈落を感じてもらうために。想像して、実感していく。さらに、箱の中の住人。
あまりに現実的で、つまらない。はっきりアドバイスをする。そこに棲んでいることが当たり前の人という想像がなさ過ぎる。
Yきが面白い。とにかく想像していかなければ、劇的なものは産まれてこない。少しずつ、飛び始めたか。そこから。
欲望を極めて、開いて、心を抉るための課題。欲望をむき出しにしてみる。
Kさわがよかった。Hくん、Yきよかった。Yきの燃えるような身体のうねりがよかったのだ。U杉、動物的でいい。もっとさらけ出せ。S田くん、自由なよう でいて、実はストッパーがかかっている。N山さん、熱いものがない。やっぱり、中身だと想うし、実感だと想う。Mな、Mくは困ってしまっていては、何もな い。M川くん、大胆で面白い。Yしき、心の熱さ、身体のほてり呼び起こせ。それしか、ないよ。
欲望でシーンを創る。欲望をもっとぶつけ合いたい。Yki,Hくんが秀逸だったので、切り取る。再度、そこからのシーン。とHくんがしっかりなぞってしま い、まったくダメ。しつこく、再度。他の人も加わっていく。加わるがシーンが動いていかない。ぶつけていかなければ、何にも産まれてこない。
欲望が渦巻いた後の嫌悪と続けてみたかったが。欲望渦巻かず。が、諦めずに嫌悪へ。嫌悪。S田くん、Yき、よかった。嫌悪がどう変化するか。憎悪までいきたい。嫌な感情を蓄積していく。そのまま、殺意。
感情の転化をしつこく、繰り返す。殺意をもって、歩く。人を殺してやりたいと想う、感情を創っていかなければならない。そこにしか、本物の殺気は見えないのだ。しかし、次第に感情はあがり、いいものは出はじめたと感じた。
殺意の佇み。そして、殺意の実行まで。人を殺すときの決意とか覚悟とか狂気とか、形ではいやだ。アドバイスする。つまり、実感が足りないのだ。
そのまま、後悔。感情を追い続けたHくんから今までにないいいものが出た。
Kさわも感情がとてもよく動いた。M川くんは、中身が足りない。N山さん、Yしきは表面的だ。まず、心がざわざわと動くことを掴むまで、突き詰めるしかない。
そのまま、発狂する。狂え、狂え、もっと狂え。煽っていく。それぞれに向かおうとすることを押してみた。狂ったまま、佇む。中身が狂っていれば、狂気が漂うところまでいきたいんだ。そのまま、破壊。破壊は表現も含めて。
壊しておくことだ。壊して、無になる、そこには自由があるのだ。S田くん、今日は著しくストッパー。まずはもっと自由になることだ。出来ると想うな、先を目指してほしいのだ。
Yき、もっと壊していけたら、もっと面白いひとになるような気がするよ。
N山さん、Mな、Mく、壊れてきているが、拍車をかけて。もっとだ、もっと。
続いて、身体表現。身体に音を取り込んでいく。音と一体になり、さらに表現する。あたしは、心を身体も自由にして、この課題にいきたい。今日の音は叙情的でとてもよかった。しかし、表現ができていかない。自分の世界を広げることなのだけれど。広がっていかない。
最後に恒例相関図。シーンとして、成立させるものはそれぞれのリアリズム。愛情。そこを大事にしたHくんはよかったが、まだまだ何をしようという目論みが見える。もっとじゆうでいいのだ。
Mな、Mく、感情を動かせ。N山さん、愛することです。たまらないほど、愛すること。足りない。Kさわくんの愛情の強さは見えた。Yきの戸惑いと確信と嫌悪と自然でいい。
感情が渦巻き、ぶつかりあうとき、これは素敵なシーンになる。U杉の愛情表現は形になりつつある、大事なのは、心。それが強い嫉妬であっても。今回は嫉妬がみえなかった。次回からは、言葉を使うこと。もちろん、劇的に。
Yしきには、執着も愛情も見えない。愛は執着でもあり。心を目覚めさせろ。
以上。

さらに煽って、抉っていく。