2009/05/11
役者の衝動は劇的シーンをツクリアゲル


夏の公演の稽古も含めて、役者の中に起こる衝動を観客席に伝えるための、稽古をする。決してこれは身勝手なやりたい放題ではないというこ とを夏の公演でみせるために。今あたしは叔父の葬式に列席するために宇都宮に向かっている。新幹線移動。稽古日記を携帯からあげようとしているが、パソコ ンのキーボードの方がいいかも。すでに悔やみつつ、書く。開かれた稽古場。参加者9名、見学3名。初参加も久しぶりの参加も公演参加者も同じ課題を進め る。それぞれの可能性を最大限に活かすためには誰にもレッテルは貼りたくない。まず、自意識、癖を抜いて歩く。常に観客の前で自由でいてほしい。表現、ス ピード、表情は中身が身体がもう少し自由を捕まえてから、調整し、整えたい。Sたは表現への意欲が中身より突出することが引っ掛かる。やはり、まず中身の 無。Hろは、どうみせるかをよく知っている、無駄を除くという見せ方、けれど、中身が動いている。まだdifferent。N山はちょっと目を離すと余計 な、奇妙な動きをする。中身を外面でごまかさない。Yか、Mなは初参加、久しぶりの参加だが、自意識ばかり。結果を見せるのであって、見せようとすること は必要ない。目を落ち着かせ、緊張を解いていく。Oさま、全般的に常に合格点の印象。そうではなく、はっきりしたものがみたい。まだまだ甘い。もっと貪欲 になってくれたら、最強だが。U杉、中身が抜けてきたことで身体からぎくしゃくした動きが消えた。素晴らしい。あたしはそれ風のこと、アングラちっくなこ とで観客を動かせるなんて考えちゃいない。自由で本当のことだけを見せたい。これは雰囲気でできることではない。出演してくださる役者さんたちもなめてか からないで。さらに抜き、佇み、役者の存在を見せていく。空気が動くのだ。Yなちゃんは外見ばかりに囚われている。まず、そこからの開放だね。抱える宇宙 が小さい、非常に日常的なのだと思う。もちろん、今日のごはんのおかずを考えても、好きな人のことを思ってもいい。けれど、果たしてそこから漂うものは劇 的であるか?という大きな課題を考えてもほしい。言葉を発する。あたしは思う、物語を紡ぐことができることは、役者には必要と。それは想像していくことだ から。再度、繰り返す。瞬発力が足りない。続いて、空間を世界を交錯させて、シーンを創る。それぞれに言葉にだけたよっていて、雑。切り取り、再度。考え たり、納得したりのふれはばが浅いと感じた。ともすれば、それは早分かりにみえ、予想されたことになる。予想外のことが起こるから、心は動かされるのに。 Sたの共有は面白かった。きっかけを指示して、シーンを切り取る。それぞれがどのように次元を変えるか。
次に感情の訓練。大きな喜び。喜ぶというプラスの感情はプラスの波動を広げる。波動の共有まで。Oやさまがまとめようとする。しかし、それがわかるとつま らない。ほんの少しのそれぞれの積極性で、活きた共有となった。強い怒り。具体的に怒りの実感、対象をみること。怒りは瞬間から持続へとまた感情の質が変 わる。まだまだ弱い。怖じ気つくほどに強い波動がほしい。深い悲しみ。号泣まで。今回は悲しみを表出させるひっぱりどころを掴むために3連発。なかなか涙 に繋がらない。泣こうとしてもなけない。悲しい想像をすればいいだけ。経験の涙は風化する。経験の中では泣けないよ。Yな、あと一息。Mケル、あとひとつ の集中かな。あたしは諦めませんぜ。さらにひと課題。公演までには形にする!
怒りから派生した感情のためのエチュード、求愛のエチュード。連発。役者がどこまで本気になれるか、しかない。上っ面なことでお金はいただけないのだ!M 目がはとてもいい。役者に一番大事なのは、反応していくこと。見事に反応できる。もしかしたら、こいつ、天才かも。言葉の噛みもあたしには劇的なリズムと 感じられる。あとはしっかりセリフを覚えてくれたら、こやつとの出逢いのお礼を芝居の神様に言えるな。相手の感情を受け取る、あるいは感情を投げる。かな り離れた距離を取る。動作を規制する。セリフが届くの、届かないのと言い合うより、繰り返しこのような訓練をして、人間同士の距離感を覚えてほしい。
だんだんにそれぞれの持つ素地が出始めた。素敵なこと。Mケル、面白い。
身体強化、及び発声。頑強な声、しなやかな身体がどうしてもほしい。さらけだせる限りさらけ出し、開放して。見られる身体づくりもよろしく。声もずいぶん鍛えられてきたし、それぞれの努力もみえる。さらに強化したい。
身体表現。音に共存し、陶酔し、ナチュラルハイに。声も、他者との共存も。Mなはいつまでも孤立している。まずは音と一緒になれ。今日の音はDさん得意なダンス曲、あんまり面白くなかった。音にも意外性がほしいね。U杉のモチベーションがよかった。
エチュード、奇妙な部屋。実感が足りない。さらりと流すことよりも、しつこいけれど、実感がほしいの。自分の部屋に知らないひとがこんなにいて、なんで、そんなに冷静よ、芝居の落とし穴だよね。
殺意。殺意の想像。殺意の動作から佇みまで。弱い。さらにあげたい。殺意って、簡単には持てる感情ではないよね。うわべの芝居にはしたくないのよ。
最後に恒例相関図。Yな、Hろから。まず、愛情の伝達。愛情が見えないふたりだなあ。(笑)ま、いっかと相関図。Yなちゃんの小手先の展開に全員が巻き込 まれた。この課題の求める愛情が全然見えない。果たしてイケイケのYなも決して好感の持てるものではなかった。あたしはたとえ悪役であっても、役者は愛さ れなければという持論。あげくはサークルかいっ!なんともとほほな流れ。まあ、そこにきてのHろの反応はよかったね。U杉は今回は最初からなぞりの嫉妬 だったので、サークル時点で完全に感情は静止してしまった。さらに指示、YなちゃんがOさんを選ぶも、どちらの反応も嘘っぽかった。原因は、そこに愛がな かったから。回りの反応もボケボケ。ショートコントを見るような結末。だめ。どんな役作りをしてもかまわない。しかし、心は置き忘れてはだめだ。以上。
さてさて、かなり不安があります。今回の本公演出演者さん、感情も身体も声も今から鍛えはじめてほしいです。もちろん、開かれた稽古場も5月はあと二回あります。参加してみませんか?