2009/05/18
もしかしたら、凄いことになれるかもしれない、積み重ねの結果が実るかもしれないとかすかにいい予感のした日。


公演チラシも決定して、後は印刷を待つのみになった。まだまだ稽古が始まらないので、もどかしいけれど、稽古初日までには決めることもたくさんあるから、まずはスタッフとの連携に日々を使おう。
開かれた稽古場、気が上がっている時は黙っていても、この時間になると役者たちが稽古場に集まってくるものだ。参加者12名、見学2名。初めての参加者2名を含めて、日常訓練及び公演稽古の下地創りとする。
虚構の世界の真実に挑戦する。感情を丁寧に動かした時にそこに蠢く劇的瞬間。
役者の存在感。存在感は創るものではなく、できてくるものだとつくづく感じた。ここに集う無名の役者たちがきっと飛び立てるように、あたしはこれからも目指す。
まず、観客を常に念頭におき、歩く。初参加のMとさんは何かをしようとする。表情を創る。役者それぞれの宇宙を広げること、果てしない想像力の海に遊ぶこ と、楽しむこと。Yなちゃんは表情が固まっている。自由にと言ってもなかなか難しいが、声をかけていくことで目に見えて緩和していく。そういう瞬間は嬉し い。美しい顔立ちに息を吹き込みたい。ガラスのような美しさではなく、温かい美しさ。Mみちゃんははじめての参加。宇宙が広がらない。戸惑いが見える。少 しずつ宇宙を広げてほしい。それにしても、出演者たち、自画自賛ではなく、相当魅力的になった。Mもと、Kや、Oやさま、Mた目、U杉の放つオーラは素晴 らしい。それぞれの経験もすべて積み重なっている。Kちゃん、中身を埋めてほしい。表面的なことだけではもう埋もれてしまう。N山さん、厳しく厳しくして きた。これからは、そこから彼女の魅力を最大限に見せてあげなければね。任せて。Hろ。実に面白い中身を持っているのだけれど、今ひとつ何かを決めてかか ることが弊害になる。もっと気儘に、もっと自由に。結果を出そうとするのではなく、結果は自然と出ていくと想えばいい。
それぞれに佇む。佇みの揺れ、ぶれがなくなってきた。常に観客席には空気が動き、反応があるということを意識してほしい。観客席に投げるものの真実を追う 課題。連発。誘惑する。求愛する。観客の心を動かす。引きづり込みたい。Mとさん、余計な身振りを取る。それぞれの目が活きてきた。望むなら、そこから発 信されるものをさらに強くしなければね。言葉を縛り、目力のみ。目で何かをするのではなく、心を動かし、相手を動かすこと。S井くんがよかった。もっと大 胆になることがほしい。本気で、本気で。本気の連続、それがテーマと心してね。一瞬でも緩んだら終わり。
続いて煽る。本気で煽る。まず、全員で。次にひとりずつ。とても確かで激しくなってきた。もっと強いものにしたい。今回は手で次に渡していったが、手を 待っているのはすぐわかる。どの課題でも同様、役者が終わりを決めてはいけない。上がりきっているところで、予想を裏切ること。U杉、Mもとがよかった。 Oや様はやや型になっている。激しい衝動に立ち戻ってほしいな。
Mとさん、全然だめ。一度止めて、再度。まだまだ。心にまず衝動を起こさなければ。Yな、もっと突き破れ。Kちゃん、アイディアではなく、中の衝動。エネ ルギーの節約をしていることが気になる。もっともっとはじけていかなければ。マリーは化け物なのだから。N山は、非常に見据えた煽りでよかったよ。ただ、 身体的欠陥の煽りはあまり愉快ではないので、要注意。さらに役者同士の煽りあい。とても強くなった。U杉の反応はいい。S井くんから発信されるものがはっ きりしてきた。向かうベクトルを定めた感あり。このままさらに上がってくれたら最高。背筋がゾクッとするところまでの張り詰めたものが見せたい。Kちゃ ん、集中力が足りない。引かない集中力。女優陣、弱い。女の煽りはコワイはず。S田くん、外に出てくるものをもっとはっきりさせる。Hろ、もっと激しく。 さぐらない。相手を変えて5連発。
さらに、破壊。内面から壊していく。N山は表現を考えすぎ。ひとりよがりにしかみえない。中身を壊すこと、とことん壊すこと。S田、M本いい。Oや様は途 中までは秀逸なのだが、そこに技術を重ねることで嘘になってしまう。修正はまずはいらないのではないか。Hろ、まだまだ頭が動いている。S井くん、随分壊 れてきた、さらに真空まで。U杉、さらに壊せ。Mみ、Yな、Mとはまだまだ。一度徹底して、恥も外聞も捨てて挑め。Mめがはいい。この人には独特の真実の リズム、体内時計がある。Kちゃん、中身。とにかく表面的なことでは成立しません。厳しいけれど。中身を破壊したまま、佇む。いかに壊れているかで姿が一 目瞭然。中身を破壊したままで彷徨う。歩く。行進する。真実に近づけたい。Mた目がいい。
休憩。誰でもない誰かを創る。自意識を抜いていく。音がほぼ確定したので、音を合わせてみる。うん、なかなかいいシーンになりそう。けれど、ひとりでもぶ れたり、揺れたり、迷ったりする人がいれば、瞬間があれば、すべてが崩れる。演技エリアで気を抜いてほしくない。一連の動き。動きの切り替えが甘い。稽古 で細かく修正する。
笑い。形になりたくない。よろしく。
哀願、懇願の連続エチュード。必要なのは真剣さ、実感、相手を納得させるものであること。2巡。シーンとして笑えるものが数本あったが、そこに実感が薄い。実感、リアリズムをさらに追求することで、もっと面白くなる。人間の必死な姿は可笑しい。
色気の追求のための課題。役者は色気を持ちたい。漂う色気を充満させたい。
連発。照れが消えていったとき、とてもいい空間が産まれてきた。それだ。
なんて、みんな素敵なんでしょう。と想った。Oや様はもっと素敵なのに、それを自覚して下さい。もっと自信をもっていいのに。N山、紅一点、しなやかさが ほしい。S田、U杉あとふた破り。S井、大胆になってきた。さらにさらに。Kちゃん、弱い。みなが立ち上がってきたので、さらに強い秋波を発信できなけれ ば、埋もれる。
身体表現。音と融合し、表現していく。陶酔がまだまだ足りない。熱を持続させる。集中。凝縮。これは絶対。熱いものはかならず伝わる。気を抜いてほしくな い。Mもと、よかった。S田よかった。U杉まあまあ。Hろ、技術を考えすぎ。Yな、Mみはもっと楽しむ。Mと、初体験。何をすればいいの?と思い続ける。 表現していかなければね。M目、Oや様、陶酔、集中。Kちゃん、ここにいてはだめ。集中力が足りない。
殺意の課題。決めた動きで、殺意を高める課題。まず、殺意の想像。物語を作る。のようなものほど信じられない。想像を広げられている役者とそうでないもの の落差がはっきり見える。途絶えたら、さらに想像する。途中で投げないことだ。殺意の実行、後悔まで。動いていない心はいらない。自身を高めること。興奮 していくこと、感情の流れを追うこと。見た目がいい。
さらに殺人者の吹きだまりのエチュード。それぞれが実感を忘れないこと。Mめが最高。他からの言動にぶれない実感がある。アドバイスして、2本。
それぞれの実感が強くなること。S井くん、いい。M目がいい。Hろ、いい。M本の2本目、先読みしすぎで失速。想いを抱えること、実感を追うこと。
Yなは実感しなさい。
続いて、殺される。状況への想像。抵抗。そんなもん?という出来。つまんなかった。
愛と別れの連続した感情のための課題。見た目が最高。心を動かす。2本目。それぞれによくなった。Oや様よい。M目が、とにかく心がぐらんぐらんと動いていて、いい。
愛と死。別れを強いものにしてみる。この2つの先には号泣を求める。
号泣になかなか辿り着けない。Mとさん、声を上げることではなく、泣くこと。みたいなことは、あたしはいらない。Mめがいい。
最後に恒例相関図。MみとMとから。愛情の伝達がまったくだめ。またやろう。MみちゃんのMとへの執着はよかったが、他の男への反応がいただけない。状況の把握を頭でしてしまうとそこにいる人を無視したものになる。
Hろの反応、いいと想うが、暴力のための暴力、になってしまうものは生理的にいただけない。愛故にという繊細な表現がほしい。今回の状況の中で、さらに女 に執着していくことは、それぞれにむずかしかったかもしれない。そういう時は無理に執着しようと想わずに、素直に反応していけばいいのではないか、そう想 うとHろ以外がお利口に立ち回り過ぎの印象だった。
感情は変化をしていく、そこに劇的の大きな答えがあるのだと想う。
以上。