2009/08/10
リアリズムと身体表現の基礎訓練をする


開かれた稽古場だった。誰もこないかなと想っていた。日中はハーフムーンの「うちき」のテーブル稽古に参加、読めば読むほど味のある戯曲 でついつい夢中になってしまう。質問までしてみたり、ひとりで考えてみたりしながら、参加していた。はっ、と気づく。いけない。うちきの稽古場は東中野、 6時からは黄色い電車移動で浅草橋に移動していなければならないのに、時計は5時を回っていて、テンパル。演出助手のNちゃんに「あたし、稽古だっ」とつ ぶやいたつもりが、先生が「月曜日ですね。」と心配そうに送り出してくれた。間に合う。
稽古場にギリギリに入り、防音スタンバイを。。と想っていたら、Mケル!本公演の後、「いい想い出ができました」ときっぱり言ったMケル登場。相方は「何しにきたの?」とか言うし、あたしもビックリした。
参加者3名。今日はリアリズムのためのエチュードをたくさんやろうと想ってきたので、いい人数だ。まず、歩く。歩く姿も自然になってきた。Mなちゃんはま だまだ自意識が強い。歩く、ところから、シーンを創る。まず、シーンを動かそうとする意識が足りていないので、アドバイス。いきなり、Mケルが先陣を切 る。発想倒れのところが多いので、止める、止める。ここからがリアリズムのための稽古である。歩く、シーンを止める。とにかく、実感することを言う。細か いダメを出す。Mケルが随分よくなった。スポンジのようなので、ダメを出すと変わっていくのは、いいことだ。S田、Mなは瞬間の反応が見えない。そこを指 摘していく。繰り返す。恐怖や逼迫感が薄いと感じた。想像していけないので、そこにはおもちゃのピストルしかみえてこないのだ。
歩く、シーンを創る。身体の痛み、驚き、労り、思い遣り、面倒くささ、いろんな要素を頭で描いているのだが、そこにリアリティがない。指摘する、再度トライ。見えている風景が見えていない。小手先の言葉なら、必要なし。
歩く、煽りあう。S田、Mケルが肉弾線のみ。煽る、煽られる、怯む。細かく反応していきたい。Mなは言葉が届いていかない。繰り返す。Mケルがだんだん骨太になってきた。そうだ。
細かいことを省かないこと、細かいリアリズムの積み重ねは本当になるが、細かい省略は嘘になっていくということを話す。
時事ネタ、覚醒剤。覚醒剤をやっていることを隠して生きる。Mケルがよかった。続いて、殺人をしてしまった直後。歩いてみるが、殺人をしてきましたと説明 してしまう。イメージを追う訓練に変える。殺人をする、殺した相手、状況を想像する。ドアを開けて、その場を離れる。歩いて、次の目的地までいく。感情の 変化、身体の変化を感じるための訓練。やり過ぎていた3人の身体が次第に動かなくなっていく、肩が落ちる。足を引きずることをやめて、足が重くなる。少し 身体が震える。3連発で、よくなった。その感覚を常にできるようにする。何かをするのではなく、感情を動かすこと、イメージを追うことなのだ。
続いて、お通夜。感情を動かすためのエチュード。あたしも加わる。加わったので、気配でしかわからないので、自身の感覚を書く。とてもよく感情が動いた。 一度も気持ちが切れなかった。横たわる愛しいひとがずっと見えた、最後に触れた肌の温度も感じた。その人との思いでがある、それを想い出すから、泣けてく る。死体への意識ではないとわかった。よく泣けた。涙がこぼれはじめると止まらない。この課題にはもうひとつ課題を入れた。あたしは、嫉妬し、狂いそうに なったが、次にはもういい、とストンと気持ちが落ち着いた。
彼女の小さな身体だけが、目に映った感覚。感情がどう動いていくか、それには思いがけない発見もあるのだ。
感情の伝搬を言えば、他の役者たちから強いものは感じなかった。
続いて、精神病棟。のようなものでは冒涜になる。何度も言う。心が精神がおかしくなること、真空状態を創っていけるようになりたい。Mケルが集中していて、とてもよかった。
奇妙な部屋。自分の部屋にしらない誰かがいる。不条理なエチュード。これも基本はリアリズムである。3人とも実感足りない。他者への反応ができない。
演劇ごっこだ。途中でとめながら、続けるがつまらなかった。
続いて、身体表現。まずは、音と身体の融合。1曲。しかし、3人とも当てぶりになってしまう。2回目、秘密の訓練。秘密だから、ここには書かない。3回 目、秘密の訓練。基本中の基本をはじめてレッスンした。これを役者それぞれが音の中で広げていくことが、必要。まず、基本的なリズムに身体を乗せることが 必要。どうしてもずれていくのを、各自何とか克服せよ。
ときどき、基本的なレッスンは入れていくことにした。
今日は人数が少なかったので、細かいダメだしをしながら、濃い稽古ができた。リアリズムで芝居を創りたい。
恒例相関図。Mな対S田対Mケルの濃い関係。1発目。Mなが優先順位をつけてしまい、おしまい。2発目。Mケル、いい。S田の感情が止まる。アドバイスすると動き出す。Mなの表情もくるくると動き、よかった。
今日の三角関係、面白かったね。
以上。