2009/10/19
空気を創るための役者の個性をひきたてるために

昨日は来年ピンターのキャスティングのやりとりを主宰とあれこれしながら、今後のためにとあたしたちのお気に入りのタレントの事務所にマネージャーに会い に行く。マネージャーに会って、「あ。この人知ってる」と想う。そうだ、この夏、受付で逢った。観てくれたんだわ、と想う。あたしはまた熱くなって、芝居 を語る。彼はとても役者を大切にしていて、芝居を大切にしていて気持ちのいいひとときが流れていった。主宰の仕事にもリスペクトで非常に嬉しかった。どっ さりと資料を渡される。是非、主宰に観て欲しいと。渡された作品がピンターで、「さて、先生の反応いかに?」と想う。
その後、開かれた稽古場。懐刀の役者たちが参加で嬉しい。参加者5名、見学1名。あたしはリアリズムと気持ちを大事にしてほしいと想う。さらに、役者の魅 力をひきたててあげたいと想う。役者としてそこに立つことを今日は念頭においてほしいと開始。役者の存在で空気を埋めるための歩き。歩くということ、はそ こに存在するということである。役者同士で空気を共有し、跳ね返し、そこに火柱を立ててみたい。これは公演のときにはいつも想うこと。つまり、役者の存在 感である。MもともYきもS田も恵まれたルックスを持つ。自由に安心して歩く姿は美しい。S田の目線がときおり彷徨う。あと一息の自信かな。Y子さんに気 後れが目立つ。何度かアドバイスをして繰り返してみる。Y子さんの表情が活きてきた。こういう瞬間は嬉しい。他者を感じる、そして、再び歩く。繰り返す。 感じることだけだ。Mもとがときおりぶれる。Yきのリズムがときおり崩れる。Y子さんは感じることを動きで考えている。S田は感じる能力に長けている。感 じること、さらにその見せ方をアドバイスする。いい空気が生まれてきたので、会話。会話の連続。反応がとても面白かった。Yきがとても自由でいい。声が全 員弱い。言葉を伝える声、これは絶対にほしいね。
S田、Y子さんは瞬発力が弱い。感じるままに言葉にすること。
動きを付ける。さらに連発。道に迷ったという初参加のBぶが加わる。Bぶから言葉がなかなか出てこない。Mもと、Yきが秀逸。Y子さんも動き始めた。S 田、積極的につっこめると尚、いい。Bぶ、迷いながら、何かを仕掛けていこうという頭が働いているので、自由な役者たちとの間に不自然な空気が流れる。と めては、アドバイス。繰り返される会話、会話から生まれる世界。面白かったね。
続いて、感情表現の課題。今日は心の経緯を感じてほしいので、それを説明し、開始。「裏切り」3連発。裏切られる、裏切る。M本がとてもいい。心の動きが 見える。最後に動いてしまって、保ちきれなかった。稽古は続けないとこういう迷いが起こるね。Y子さんは心の動きはいいのに、余計な表現を加えてしまう。 持続し、心を動かすこと。不足感は気持ちで補ってほしい。S田。いい。Yきは繰り返すことで、感情が大きく動いてしまい、特異になってきてしまう。気持ち を戻して、再度という切り替えを掴んでほしい。Bぶ、気持ちがまったくない。表面的演劇風。アドバイスする。少しだけ、心が動く。
さらに絶望。絶望するという感情をどう掴まえていくか。想像力しかない。
日常から過去からその感情を探し出せない感情は、想像力で創り出すことだ。
激しい感情、強い感情。これもすべて柔軟な、感じることのできる心を磨くことではないかと想う。
今回は全員弱かった。
煽り、喧嘩。 15連発。2人同士の煽りあいをノンストップで。最初の何回かは止める。アドバイス。煽る時に相手が不在になってしまう。Yきは声だけで勝 負するので、怖くなく、弱くなってしまう。Bぶはイメージが形にならない。どういう風にやろうと考えるよりも、相手の言葉を掴まえる方が気持ちを動かす早 道である。etc.
繰り返すうちに怯みも見え始める。Y子さんの言葉がもう少し届いていきたい。S田、怯みが多すぎる。向かっていくこと、M本、素材の持つ怖さをもう少し膨らませてはどうか?Bぶ、心、心。手では相手役の心は動かせないよ。
最後にはそれぞれに掴んだ。それを覚えておいてほしい。どんな風に心が動いたかを。
身体表現。はじめての参加者、久しぶりの参加者もいたので、この課題を再度説明する。あたしの目指したい表現についても話す。今回のだぶさんの音、最高。あたしは生活音が大好きなのだ。いずれは冷蔵庫のモーター音の中で身体表現が創りたいのだ。
Mもとは秀逸。何より音にわくわくしている。これは素敵なことだ。Yき、陶酔は非常によい。今後は身体表現という切り込み方を求めたい。アドバイス。S田 は技巧的で、S田の思い込みの強さや内面世界の強さは消失。それはあたしの望むところではない。Y子さんはまだ手探り状態。どうやろうかではなく、自由に ね。Bぶさん、まだ全然だめ。集中するしかないね。
奇妙な部屋。3連発。今回はよいところ、悪いところを指摘しながら、仕上げてみた。表現としての日常生活を求めてみた。少しずつ面白くなってきたが、まだ まだ殻がある。恥を晒してでも、面白くしてほしい。面白いアイディアをどういかしていくか。静止の時間の作り方を助言してみた。他者の発見、驚愕、抵抗が 緩い。それぞれにアドバイスをしたので、割愛する。
最後に相関図。ひとつ、やりたいことが時間足りず。反省。相関図。手は入れていったが、とてもよかった。
Yきがとてもよかった。Mもとの一言「鍵」が活きた。その時のYきの反応が哀しくて。Y子さん、素直な女優さんで温かくて好感。
続けてきた相関図が近頃、結果が出てきて嬉しい。
さらに素敵な役者たちと素敵な結果を出していくために、稽古を続けていきたいと誓う。
以上。
ここに通う役者たちは、時間をやりくりして、現れる。自由参加がよい作用になりはじめてくれますように。日常訓練なんてと鼻で笑わない者だけが本物になるのだ。