2009/11/02
コツコツと積み上げる。急ごしらえは薄ぺらいに決まっている。

「くたばれ シャイクスピア」稽古。本日は最終稽古。水曜日小屋入り、公開舞台稽古だ。食い付いて追い込みをかけている役者が輝きはじめた。役者としての 姿勢がいい。役者でも、ではなく、役者しかない役者は後押ししたくなるし、稽古を観ていても、楽しい。役者を続けていくためには役者としての姿勢が必要、 ダラダラ続けるなら、きっぱり辞めて正解だと想う。
あたしには芝居しかないし、こんなに醒めない夢はない。だからこそ、芝居を冒涜するものは受け付けない。あたしの毒気は強いのよ、芝居を愛しているからね。
さて、通しをみて、浅草橋。開かれた稽古場。一身上の都合で今夏の公演には出ることが出来なかった役者がふらりと参加。ま、枝葉末節どうでもいい。芝居をやりたい、稽古がしたい、そういう人は誰でもいつでも大歓迎。
参加者4名。初参加2名で開始。
これから芝居をはじめるという2名の女優の参加表明があったので、今回は感情を動かしていくための訓練で組み立てた。
まず、歩く。舞台の上を歩くための訓練。舞台を自由に楽しんで歩くこと。U杉がとてもいい。Mケルも持続力ができてきた。Sほ、Yなともに余計な自己顕示がなく、好感。続いて、感情の訓練。
殺意。殺意をもって歩く、佇む。1発目。全員弱い。何も伝わってこない。再度、U杉、Mケル、いい。女優ふたり、何もない。再度、U杉の息が変わる、とてもいい。Mケルは余計なことを足してしまう。女優ふたり、何もない。
哀しみ。深い哀しみの感情を持って歩く。佇む。歩く。全員弱い。繰り返すうちに感情が重なっていく。瞬発力がまだまだ。女優ふたり、少しずつ感情がうごきはじめる。Yなの表情が軟らかくなる。
さらに、喜び。幸福感。それぞれの顔がいい。Mケルがまだまだ表面的ではあるが、感情を持てる時間が少しずつ延びている。訓練を続けている効果。しぶとさ がいい。シーン作り、会話。2組の会話になってしまったが、Sほ、Yなの言葉が少しずつ増えてきた。歩く、会話する、連発。
いかんせん、声がきこえない。声への意識をもってほしい。アドバイス。
さらに深い哀しみ。心と身体が少しずつ柔らかくなってきたので、全員の感情が動き始める。ただ、まだまだあふれ出る感情までは遠い。訓練をしていくしかな い。シーン作り。沈黙が図らずもできる。いい。会話もよかった。何かを仕掛けていくことよりも、こういうことが大事なのかもしれない。
箱のエチュード。あたしの稽古での定番。まず、全員が四方からの壁に閉じこめられる。実感のための課題。想像のための課題である。実感が足りない。Mケル、しゃべりすぎ。しゃべる度に実感が薄まる。
4つの箱。それぞれの箱に閉じこめられる。U杉、最高。抜く。恐怖、孤独、身体、感情すべてが動き素晴らしかった。舞台に載せてあげたいくらい。
再度。Mケル、言葉が減る。よくなる。Sほ、Yな実感が少し出てくるが、まだまだ。閉じこめられたところで声。さらに、壁の消失。シーン作り。
いいシーンができるまで、止めてアドバイス。3連発。喜びの共有、とてもいいシーンになった。すべては実感していくことだと想う。
さらに愛情の伝達。6連発。伝えること、そして反応。今回は心が柔らかい、素直な役者ばかりでほほえましい。U杉の反応がいい。
続いて、嫌悪、憎悪。2人ずつ連発。言葉の間にできる反応、間。Sほ、心に警戒心が強くて、言葉と伴わない。
さらに愛情と嫌悪、憎悪、別れ。6連発。強い感情を持つまでには至らない。
強い感情、瞬発力、持続。まだまだだ。それぞれにアドバイス。これはさらに稽古を繰り返すしかない。
最後に恒例相関図。3連発。感情を動かすこと。新しい感情の動きを掴まえることができたか。Sほ、心が見えない。心が柔らかくなるように、日々を過ごしてほしいと望む。
愛情故のすべての感情、嫉妬も落胆も。最後のシーンはすべてが絡まって、なかなか。U杉の優しさが見える。
Yなの表情はくるくると動き、素敵になった。
以上。
稽古は繰り返す、積み重ねる。そうすれば、かならずいつか実を結ぶ。
芝居が好き、ただそれだけでいい。いい稽古。いい再会だった。個人的にエールを送る、U杉、踏ん張り時だよ。