2009/11/09
ブラボー!高きを目指す役者たちの吹きだまりでもいい。

日常訓練は当たり前である。日常訓練もできないのなら、役者なんて辞めなさい。役者しかないのなら、積み重ねて稽古をしなさい、それしかない。あたしも死 ぬまで稽古を続ける。ひとりごちているだけではなく、本当にあたしの望むことなのだ。強制はしないから、ただ自由にどうぞと門戸を開いている。
開かれた稽古場、昨日までの本番の疲れが吹き飛んだ。日中までくだらないことに頭を悩ませた。夕方の稽古場に早くいきたい、芝居の稽古に溺れたいと今日ほ ど想ったことはない。きれいはきたない、きたないはきれい。魔女にでもなりたい気分だったから。ぶらぶらと稽古の進行を考えながら、稽古場にいく。暮れな じんだ稽古場の前に人影が固まっていた。あれ?今日は参加者多いわね。と時間まで一服。またひとり、少々の遅刻もいて、参加者9名、見学3名。
まずは初参加もいたので、アクティングエリアを歩く。ただ綺麗に歩くとか、そういうことは求めていない。それぞれを活かして、それぞれが自由に歩く課題。 案の定、初参加のY田くんは自意識ばかりが働く。Oや様、Mもとはもう魅力全開で、歩いているだけで惹かれる。TこZは、非常に個性的な歩きをして、それ があたしにはピンとくる。さらに、しっかり歩くようにアドバイスする。H田くんは歩きが弱い。所謂存在感などというものを想う。Hろの歩きも存在も安定し てきた。他者の存在を感じる。会話。5連発。日常の挨拶はつまらない。いかに空気を変えていけるかだ。仕掛ける、それに反応する。Mケルに集中が足りな い。最後にストップ。会話のコラージュ。3巡。M本の切り替えがよかった。Y田くん、H田くんはまだまだ会話ができないね。
TこZが非常にキュートでいい。Yなは固い。
さらに感情を動かす。想像して、感情を動かす訓練。今日は初参加、初心者が多かったので、強い感情のみを選んだ。深い哀しみ。深い哀しみを持って歩く、気 持ちと身体と息がそのまま溢れてほしい。Mもと、Hろ、Oや様、TこZ、心がよく動く。Sほは心が動いているが、もっともっと。心にブレーキがかかる。Y な、なかなか動かないので、焦りしかみえない。ゆっくり動かすことをアドバイスした。Y田くんはどうやるかという勘違い。すべてに心が見えてこない。Mケ ル、表面的。強い哀しみ、繰り返す。繰り返すうちに心はどうなるか。動きを指定して、佇み、振り返り、歩き、佇み、号泣まで。Oや様に表現していくことを アドバイスする。彼の身体全体の表現力を活かしたい。
心が動いている役者と表面的な役者がはっきり二分されてみえる。気持ちは大事。再確認。
強い怒り。怒りの対象をはっきり持つこと。M本、Oや様最高だね。いい。
Yな、動く感情が足りない。しかし、少しずつ見えてくる。そこからだ。
愛情の伝達。女優、男優と距離をとり、愛情の伝達。言葉は禁ず。伝わってくるものが弱い。3連発。Yな、Sほ、TこZの表情が変わった。とてもいい。
男優は感情が動いている役者の表情はいいが、ダメなひとは表情さえ動かない。はっきりわかる。嘘だなあ。
さらに憎悪。人を恨むという強い感情は。経験の中だけでは生まれない。その説明をする。想像して、感情を創る訓練。
弱い。これは全員到達できない。アドバイスして、Oや様最高。
続いて、煽りの連続エチュード。18連発。これは、感情を動かすことと反応。Yなが活き始めた。女優たちの煽りのスケールがさらに大きくしたい。
Hろの煽りが安定してきた。ただ、声が弱いな。M本の責めがほしい。Y田くんは相手を受けることができていない。何をやるかではない。そこに気付くといい とアドバイス。Mケル、アイディアは面白いが、その先がまったくダメだ。Oや様、さらに鬼気がほしい。妖怪のような役者になってほしいのだ。
H田くん、飄々としておもろいが、ボリュームがあまりにない。声を鍛えなくてはダメだね。TこZは、肝が据わっていて面白いし、いい。もう少し相手ありき も必要ね。18連発もしたので、割愛したが先に連発した愛情表現のシーンとは雲泥の差で空間が動いていった。いい成果だ。
さらにさらに、懇願。18連発。実感が希薄だった。それぞれには面白かったが、コント集みたいだった。Oや様、笑い路線だったしね。
身体表現。音の中で表現する。他者と身体を融合させ、表現する。はじめての役者は探り探りかもしれないが、やってみた。今日は音が呑まれてしまうほど、い いものが出来た。Mもと、Oや様、Hろ。この三人の集中と表現力には涙が出た。素晴らしかったな。しかし、初参加のTこZの内面世界はいい。これが外に向 いた表現になったら、独自のよい世界ができるだろう。
Sほの楽しもうという表現も好感。Yなはエンジンがかかるのが遅い。探るより、やれ!ってことね。H田くんは手探り。ここからだ。Y田くんはゼロ。どうやろうかではない。できないのでもない。やらなければ、何も生まれない。
Mケル、集中できるようになったが、身体が表現にならない。アドバイス。
続いて、奇妙な部屋。リアリズムと実感からシュールなシーンを創る課題。
2連発。日常を劇的世界にするためにアドバイス。M本はアイディアと行動が無理なく伴ってきた。巧くなったね。Oや様の絡みも実感を伴いよかった。
他の役者が止まって観客になってしまった。止める。舞台の上では経験値に呑まれるな、思い遣りとお互いのリズペクトは大事なことだが。
再度。気付いてからの反応はぞれぞれによかったが、その後の展開が見えない。そこは自分の部屋であるという思い込みが不足なのだね。
最後に恒例相関図。2連発。まず、みんながお利口になってしまい、面白くなかった。再度。Sほの反応は面白いが、小器用すぎて冷たく見える。手練手管では なくて、迷いや葛藤や愛が見えたい。Mケルの喜びがよかった。一瞬の心の動きはいいのに、余計にしゃべりすぎ。Hろの振る舞いが今日は軽かった。
Oや様、取り残されていく姿、よかったのに、最後の最後でいい人になって、あたしの好み的には残念。もう少し感情の動きがたくさん見えれば面白くなりそう かな。H田くん、最後の去り、やや技巧的ではあったので、、それが気持ち優先でできればいいのでは?Mもとの本来持つ味、そこはいい。愛情の強さがまだま だ弱い気がする。
以上。
稽古はつよかれ。自惚れずに、真摯にいこう。
開かれた稽古場は、時間を見つけて、自由にどうぞ。
経験値、一切問いません。
それにしてもこれからはじめる役者たち、これを機会に続けることだよ。
修行に終わりはないのだから。
継続こそ、役者の武器となるのです。