2009/11/24
沈黙と静寂は違う。すべてに息づかいがきこえたい。

一日寝かしてみた。稽古日記。昨日は開かれた稽古場、参加者4名、見学3名。いつものように一連で流れを考えた課題。少しずつ、笑いに包まれていった。
笑いが起こり始めた時、役者たちの息づかいが自由になっていた。
そんな稽古を振り返る。
まず歩く。対決。N川くんの自己確認と修正は必要であるし、稽古場はつきつめればそれでいいのかもしれない。けれど、歩き始めたら、歩き続ける。こうあっ てほしいと想った。歩きながら、対決していく。まず、他者を感じること。Y子、Mケル、M本、N川くん、目線、存在が失速している。止める。アドバイス。 個々でのスパークはぶつけることでさらにスパークを生むことを話す。
少しずつ、火花。M本、N川くんがいいぶつかりあい。ただ、まだまだ相手より己の表現が鼻につく。繰り返す、繰り返す。手を入れて、スパークの瞬間をはっきり掴まえていく。M本がいいね。ただ、全員弱い。固い。ドンとぶつかっていかなければね。
Mケル、Y子は声が小さい。スパークする火花が小さい。N川くんは面白い。言葉が唐突で、まるでピンターの戯曲か?それが自然体から出てくるものではない ところがいただけない。頭が動いていることはいいこと、だけど、まず感じる、相手に刺激を受けていく、こっちが大事と話す。
できること、手をさらけ出してくる役者、久々、これは気持ちがいいことだったが。だけど、抽出から出すだけでは、すぐに終わったちゃう。感じて、新しいものを出していくことができていきたいね。
最後に4人による対決のシーン作り。もっともっと火花をあげたかった。姿も含めて。
暗転。さらに感情の課題。強い怒り、強い怒りをもって歩く。何に対しての怒りなのか。M本に表現していくことをアドバイスしたが、中身が希薄になる。まず は中身は常に濃くありたい。Mケル、感情は持てるようになってきたが、持続しない。想像したら、次の想像をしていくことだ。出来た怒りの感情を保つための さらなる想像だよ。怒りを保とうとすると形になってしまう。
N川くん、心は動くがスピード、沸点は遅く、低い。心の怒りをさらに強くできるように。Y子、感情が失速する。これも感情をさらに強い怒りにしていく想像 だ。怒りを声にする。Mケル、迷うな。何も考えずにそのまま声を出してみた時に、きっとピンとくる。N川くん、ありだと想わせる魅力はあるが、どこか作り 物にきこえる。惜しいと想うな。〜のような声、を探さなくていいのだよ。M本、よかったよ。Y子、声が出てきた。さらにはっきり色が出たい。
続いて、深い哀しみ。哀しみの理由、情景を想像していくこと。これしかない。泣きまで。大声で叫ぶ泣きでも涙をポロポロ落とす泣きでも、納得できる泣きが 観たい。嗚咽、と号泣と納得できるもの。感情を動かしているときに呼吸が止まる。呼吸は乱れる、しかし、止まらないのだ。無理をせずに自由に悲しめるよう になりたい。N川くん、表情が動き始めるが、まだまだ固い。
続いて、死の課題。一連。殺意、殺人、殺人の後、1年後、3年後、そして10年後。それぞれにその時の感情を探る。そして、シーンを創る。あなたはどんなときにひとをころしたいとおもいますか。
想像しなければ、チープになる。殺人の瞬間ははっきりしなかった。Y子、ドライブ時間が長すぎる。殺人の後、どんな感情が生まれたか?どんな感情になろうとする指定はしなかった。それぞれが感じたその時の感情を想い出せますか?
シーンを創るとMケル、しゃべりすぎ。中に抱えること。このシーンには言葉は無くてもあたしはよかった。さらに、追い詰められる、そして、開放されるま で。それぞれの実感が会話をする中で抜けていった印象。N川くんの薬を呑んで死ぬという発想はいい。しかし、発想に実感がないね。
役者にとって、アイディアは大事だと想うよ。それを次は実感して活かすことだ。そうしなければ、観客まで伝わらない。
内面を壊して、発狂まで。死を時間をかけて意識し、シーンにしたことで、感情は混乱していたはず。そこからの破壊と発狂はやりやすかったはず。
続いて、煽りあう、15連発。煽りをノンストップで繰り返していくことで、感情がまとまってくる。相手に届く煽り、N川くん、M本次第にヒートアップし た。Y子、もっと相手に飛ばしていけるようになりたいな。さらに、哀願とか懇願とか16連発。必死な思い、必死さ不足。反応も大事だが、この課題は哀願す る、懇願するに焦点をおきたい。また挑戦しよう。
奇妙な部屋、2連発。リアリズムのシーンをシュールで混線させたい。これがあたしの狙い。N川くん、発見、気づきの瞬間がまだまだ出来ていない。役者のポイントはこれだ。何かが変わる、その瞬間を観客は観たいのだ。それが、リアリズムだ。瞬間、瞬間。
1本目不発。実感不足。2本目。アドバイスをしてから、スタート。笑いの方向にいく。それは偶然でもあり、これは面白かった。しかし、観客に笑いが出はじ めると実感が薄くなってしまう。ここで実感の持続を続ければ、さらに面白く、そして、「奇妙」なシーンになるのに、惜しい。M本、N川くんの丁々発止に終 始、Y子だけが実感を忘れずにいたので、うまくまとまった。そのうちドカンといいシーンができような予感少々。
泥酔トレイン。泥酔を身体で覚えるための訓練。普通に歩く、酔う、絡む、歩く、酔う、絡むの繰り返し。規則性を持たせる。酔った時のふらつきをやろうとす ると道を外れる。酔った時、人はまっすぐ歩こうと「意識」はある。そこがポイント。方向を見失うとトレインは脱線したでしょ?
泥酔者の吹きだまり。M本、巧くなったね。N川くんも巧い。Y子、Mケルは歩きを次回までに覚えておいで。家で出来る!
2連発。M本、N川くんに持って行かれ気味だったが、2本目は全員よかったかも。
身体表現。音に身体を融合させる試み。それぞれに集中できていたとは想うが、声、他者との融合に欠けた。N川くん、まだ手探り。途中からの身体表現にさらなるトランス状態が欲しい。M本、今回は定型であんまり。あるレベルのことはしてくれるのだが、面白くない。
Mケル、Y子は身体で表現することをさらにね。
最後に愛情表現のエチュードから相関図まで。今回は連続させてみた。愛情の実感を強くするために。相関図、よかった。それぞれの愛情の居ずまい、居場所、がよく見えた。Y子の選択、M本の最後のシーンが不満。まだまだできるはずだよね、M本。
いい稽古だった。常にこれくらいのモチベーションでありたい。
それぞれのペースで自由に「確認」をする、鍛える時間を創ること。これは一生。よろしく。