2010/01/11
こちらの心を研ぎ澄ませて、貪欲に求めていこうと想った日

寒い中、稽古場に向かう。日中はピンターの稽古場調整をしていて、煮詰まる。
どうしてこうもたくさんのNGがあるのか!お優しい主宰はいつも笑顔で応じてくれるので、せめて「制作さん」は厳しく調整したいところだ。
煮詰まった結果、演出に少し無理をお願いするために電話でお話する。御陰様で稽古日をいただく。これを基準にとっととスケジュール出しをし、即役者さん確保。よしっ。
さて、開かれた稽古場。開いているので、時に面白い才能と出逢うことになる。だから、あたしは経験値、年齢は関係ないよ、とまず話す。何をしてプロとするか、それは意識だと話す。とにかく、ここは役者のための稽古場だと話す。
とっかかりやきっかけは問わない。フルネームを名乗ってくれれば、参加はオッケーとする。初参加2名を含め、4名で開始。
まず、歩く。それぞれの役者が個性豊かに歩いてくれれば一番だと想う。存在するということの出発点。歩く、呼吸する。初参加のYえちゃんはまず息が出来て いない。Mケルもしかり。Mケルはもっとかっこよくしてみたい。Hくんは頭遅れて加わる。歩く、他者を感じる、他者を意識する、シーンを創る。
まず、感じることは、関わりを創っていくこと。M本は意識の仕方が自然になってきた。Yえちゃんが仕掛けていくが、自己完結するので、止めてダメだし。ま ず、Hくんも加わり、会話する、という課題。Mケルは相手の言葉を聞いていない。会話はすべて反応である。初参加のHくんは姿がいい。はじめての参加であ るが、自由さを感じた。
何回かの会話を繰り返す。M本はキャラクターの毒が強く、いきなり盲目になってみたりで挑戦果敢。苦笑。回りの反応がついていけずで、これは失敗だよね。 続いて、感情を創る。強い怒り。歩く中で、想像し、強い怒りの感情を持つ。心を動かすことの実感。Mケル、表面的過ぎる。それでは、いつまでもできない。 心だ、内面だ!初参加二人、Yえ、Hくん、なかなか良い。持続しないが、心が柔らかい。強い怒りの感情を抱えて、佇む。そこから、怒りの声。いや、驚い た。初参加のHくん見事。続いて、声の伝達から、身体表現まで。声を飛ばしていきながら、表現を煽ってみる。いや、Hくん見事。初参加、いや初体験の課題 に水のように柔らかい。M本とHくんの身体表現に波動が産まれた。へ〜。と想った。才能はこうやって出逢えるのだ。実は、余談だが、彼から参加表明がき て、場所の案内を送った。その後に彼のミクシーを見たら、役者のやの字もない。???と想った。けれど、今日の稽古に彼が参加したことはお互いによかった と想う。M本とHくんを切り取る。怒りの感情表現から怒りのシーン作りまで。M本がとまどう、それもまたよかったし、Hくんの不自然な動きを伴った怒りの 表現は、大好きだ。よかった。しかし、リアリズムという点から少しダメを出し、もう一度。そうか、これが取れてしまうことは普通になってつまらんな、とも 想った。
続いて、YえとMケルで怒りの身体表現から怒りのシーンへ。今日のMケルは集中力なし。すべてが表面的。中身、中身!Yえちゃんが砕けてきて、いい声が出た。まずはそこからだ。
さらに怒りのシーンの15連発。相手を変えてシーンを回していく。Hくんが面白い。Mケルしゃべりすぎで、実感がない。M本、今日は怒りが弱かったように想う。Yえ、怒れ、もっともっと。交わすことは怒りではないね。
続いて、深い哀しみ。死に向き合う。4人同時に。哀しみを表現する。M本は静かな表現でよかったが、何か強いものを感じなかった。それは声なのか、内面な のか?己で見極めてみてほしい。アドバイス。Hくん、はじめから泣いた。素晴らしいので、天才かもしれない、と希望をあげた。Mケル、一瞬よかったのに、 山ほどの嘘を続ける。だめ。Yえちゃん、表現が弱し。感情はしっかりと追い、確実な感情を掴まえること。本物の涙をみたいとアドバイスする。再度。Hくん は前のようにはいかず、感情を探しているだけだった。残念。やはり訓練して鍛えるしかない。
さらに号泣。ただ、号泣する。想像力だ。M本、オッケー。ただ、もっと溢れる泣きになっていきたいね。Mケル、やっと泣き崩れるまでいけた。途中の集中が 続けば。惜しい。Yえちゃん、地味でまだ表現としては弱いがよくなった。Hくん、ひとつタガが外れれば、いけるという感触だね。
続いて、ある女の死。エチュード。ある女の通夜。それぞれが哀しみを抱えて訪れる。それぞれは女の恋人である。偶然訪れた女、そこには恋人が遺体を前に哀しみにくれていた。
1本目。それぞれの死に対する反応はできていたが、回りへの反応がまったくなかった。女はきっかけを探すようなシーンになってしまい、ダメ。
アドバイスをして、2本目。ご遺体の位置の修正。それぞれが他者に反応し、なかなかよかった。女の落胆、驚愕、嗚咽。よかった。
続いて泥酔者の吹きだまり、泥酔トレイン。酔っぱらいを身体で掴む。シーンは面白かった。泥酔状態がもっと巧くなりたいので、トレイン。歩き、絡み。リズムよく身体に叩き込むために。これは訓練にはいいよ、是非自宅で。
さらに奇妙な部屋 2本。日常生活の実感、他者への反応。ネタを作るのではなく、自然になされることが笑いを誘えば面白くなる。不条理をリアリズムで創る のだ。M本、Kくんはよかったが、Kくんはテクニックがないので、気づき方を会得したい。Mケル、実感。Yえちゃん、まず素直に恐怖とかから追ってみよ う。
さらに煽り10連発、懇願10連発。向かっていく、切り替える。丁寧にこなせるまではまだまだ。懇願については、心底からの願い、頼みでなければコントに過ぎない。実感はまず自分の状況を瞬時に創ることだ。
それぞれにアイディアはいいのだが。YえちゃんとM本の破産しちゃうは良かった。それにしてもKくんは独特のキャラ、捨てがたく魅力的。
最後は久しぶりの相関図。まあ、男性陣にも愛情足りないし、Yえちゃんもクールすぎ。鳴呼!愛の混線にしたいのだけれど、今時の役者は「愛」って知ってる???
以上。いろんな出会いがある。あたしの心を濁らせずに、コツコツと稽古場を開いていこう。参加自由、是非どうぞ。