2010/01/18
そこに居ること

稽古だった。週末に崩した体調に追い打ちをかけるようないやなことが立て続けに降り掛かる。信頼できる方から受けた信頼に救われる。いわばバッシングとい う類。思いがけないところに被害がいっていて、こういうことをする輩の得体のしれない乱暴に呆れる。以前、ネット上であたしが男みたいなこの性分でなけれ ばとてもクチに出せないような捏造情報を流された。今回は現実にあたしの知らないところで大切な方に起きていたあたしへのバッシングだ。知らせてくれたこ とに感謝し、笑い飛ばすことにした。開かれた稽古のある月曜日の出来事。あたしには稽古がある、芝居がある。それがすべてを救うってこと。
さて、いつもの浅草橋。少し早く着いたので、前にみつけた路地裏の喫茶店。ナポリタンを食べる。これぞナポリタンで、ピーマンの案配が最高。
開かれた稽古場。参加者5名、見学1名。参加表明が午後になって入り始め、稽古場の覇気上がる。久しぶりの参加者も現れた。この稽古場の基本形である参加 自由の意義がこうして叶うときは嬉しい。それぞれのペースでいいと想っている。時間ができたときにここへきて、各自確認作業をしてくれること、それが日常 訓練の、役者の習慣付けだと考えている。
役者がその空間や共存する他者をまず感じ、そこから自由に動いていくもの、それが芝居の土台だ。そのためのシーン作り5連発。開始。歩く、感じていく。た だ、何かが動くことを感じているだけでは劇的な変化は起きてはいかない、待ち続けていてもそこで動く空気感は伝わらないということ。水面に小石を投げるよ うな、そして、そこから広がる水紋のように。シーンができていく。ある一言、ある行動、ある空気。そこに関わる役者それぞれが感じて、反応してほしい。や はりそれは五感からくるものであってほしく、論理ではない。歩く、感じる。シーン。なかなか出来ていかない。いや、表面的には進んでいるのだが、違う。3 本のシーンを止めて、感覚的な話をする。感じてほしいこと。伝わったか?続いて、感情をドライブさせ、シーン作り。まずそれぞれの役者の中に感情をひとつ 創る。そして、その感情からシーンを創る。もちろん、その感情はシーンの中で変化していくものである。自由とひとことで言っても、そこにはなかなか辿り着 けない。だからこそ、もっと今よりももっとと自由を掴まえにいってほしいのだ。続いて、感情を指定していく。はっきりした強い感情。嫌悪する。殺意。Nさ んとM本の間にシーンのとっかかりが見える。それはとてもはっきりした空気の動きで、心が動いた。感情の渦が見えた。こういうものがいい。思わず止めて賞 賛。はて、これは役者たちの感じることができたものだったか?
さらに殺意を表現する。Nさん、いいな〜。Hでもよかった。Hろは時折表面的になる。感情を掘り下げること。Nちゃんは感情の変化が色のように見える。素 晴らしいと想う。殺意の実行、その後の感情表現。Nちゃん、M本がいい。留まることのない感情の変化。やはりそこは執着し、自身の感情に突き動かされてい くものなのかもしれない。Hで、Hろは途中で感情が止まってしまい、再度感情を持ち直している。が、そこから先へいけるはず。執着。Mケル、表面的。それ はゼロだよ。とにかく小さくてもいい、感情を持つところから鍛えなさい。Nちゃんから最後に出てきた笑い。いや、実によかった。こういう信じられる感情こ そリアリズムだ。Nちゃん、覚えてる??M本はどこかで頭脳が動いているのが惜しいのよね。
そして、諦め、開き直りまで。そこからのシーン作り。2本。1本目はMケルの不用意な言葉の連投ですべてが崩れた。止める。駄目だし。Mケルに回りを感じ ることをくどく話す。Hろは開き直っていることを表現しようとすることが嘘に見えてしまう。2本目、それぞれの感情が少しずつ動いて、いいシーンだった。 Mケルはまだまだ。課題にする感情が重いものであるほど、感情はそれぞれの中でノッキングしていくのだということ、ここが劇的なことだとあたしは想う。
さらにシーン作り。「告白」2本。
それぞれの登場で「告白」というシーンを創る課題。
M本の愛の告白でスタートした1本目。いきなり登場したMケルがアクティングエリアで佇み、シーンが切れる。駄目だし。舞台がいかにこわい場所か。畏れを まず覚えて欲しい。笑。2本目。Hろがいい。時折声を飛ばしていかないと方向を見失うが、よく修正したと想う。Nちゃんはごく当たり前の人間の感情を丁寧 に追い、好感。Hでの直情タイプの感情も好きだ。M本、おそらく役作りについていけていない無理がある。役作りへの挑戦はいいと想うが、しっかり創らない と実態のない役が転がっていくよ。Mケル、感じること、反応すること。まず、そこからちゃんとやれ。慌てず、コツコツ。
煽り、懇願30連発。歩きからの煽り、歩きからの懇願。繰り返し。この課題は感情の瞬間的な切り替え。実感。それぞれの役者がどう感じたか?そして、もちろん受けてはまず受けることからの反応。
さらに確認課題。煽り正対15連発。服装の煽りは好きじゃない。Nちゃん、M本のにらみ合い1本、よかった。煽りは相手をみることからがポイントではないか?
続いて、泥酔者の吹きだまり。まず泥酔の身体表現的要素、これは日常の観察と稽古が必要よ。自己観察もいいし、酔っぱらい観察は有益。まあまあ。
奇妙な部屋、2本。日常の劇的再現であってほしい。そして、実感と反応。2本目、面白かった。Nちゃんが日常に戻ろうとする行動動線、あるいは習慣動線を はじめて見せてくれた。あたしが待っていたこと。はじめて具体的なアドバイスが叶った。次回が楽しみだ。もっともっとシュールになるはず。
最後に無対象で相関図を。やってみた。それぞれの個性、感情がよく見えて、温かくていいシーンだった。
途中、彼女が分身して2人になったが、思いの外うまくいった。(爆
最後に選ばれたNちゃん、他の役者たち。いい表情だった。
稽古はいいね。また来週。
そこに居ること。それができたら、素敵じゃない?きっともっと芝居が好きになるよね、自由になれればなれるほど。