2010/01/25
はらはらと涙がこぼれ落ちた

稽古日記。ここ連日悩んでいたことに結論を出した。その足で開かれた稽古場にいく。寒空の下に参加者が佇んでいた。役者の修業に終わりはないと言い続けて いる。以前京都から参加していたSおんちゃんとうちのマリー Kちゃんの姿があって嬉しくなる。参加者3名、見学2名。
自然と気合いが入る。稽古開始。まずそれぞれの俳優として歩く。歩く姿にそれぞれのかおりや色がみたい。M本、Kちゃんがとてもいい。呼吸も姿もとてもい い。Kちゃんに思い切ったアドバイスをしてみる。Kちゃんのスポンジのような素直さが活きる。さらによくなった。つまり、自由でいること、もっと自由に なってほしい。Sおんちゃんはこれまで何もしてこなかった証明、歩くことに自意識ばかりが働くので、歩けない。何度も止めて、歩きのアドバイス。ただ歩く だけ、されどできないのだ。役者として磨かなければ、自由は遠い。アクティングエリアを自然に呼吸し、歩ける役者はどれくらいいるだろうか?
歩きからの他者を感じ、シーンを作っていく。M本とKちゃんが仕掛け、仕掛けられ。いいシーンになっているのだが、その中に無神経にSおんがいる。こうい うことがあってはならない。何度も止めて、アドバイス。シーンが動いていかない。再度、歩き、シーンドライブ。動いていかない、ループしてしまう。痺れが きれて、他者に反応することと入る。Sおんの手を掴み、動き回るが、Sおんの手に反応が何もない。もちろん、あたし自身もシーンを作っているので、Kちゃ ん、M本の反応や気配は感じつつ、進める。眼を交わすだけ、それだけで通じる。それでいいのではないか?まるでライトチェンジのように
効いた言葉をM本が放った。掴む。これはいけると想った。残念ながら最後までSおんには反応がない。感じること、反応すること、それだけなのだ。
再度、席に戻り1本。Kちゃんの想像力にやられる。とてもよかった。
続いて、感情を指定し、表現していく課題。「強い怒り」まず感情を持つ。想像力で状況や相手を描くこと。M本、Kちゃんはそれを表現に変えていく。いい。Kちゃんの集中力に驚く。Sおんちゃんはまず感情が少しも持ててこない。表現も指示してみたが、なにもなかった。
感情と表現の課題。「親の死」感情が溢れる。M本、Kちゃん。深い哀しみを表現にしていく。シーンが動くように素晴らしかった。手を入れ、佇み、同時多発 で心情吐露。その時、Kちゃんの眼からははらはらと涙が流れ続けたのだ。言葉にならない声。やっと出来たと想った。感情が繋がり、動き出した瞬間。これが 観たくて、芝居をやっているのかもしれない。感無量。
さらに幸福感、満足感、達成感。M本、Kちゃんは心がよく動いた日。文句ない。信じられるもの、観ることができた。そこからのシーンドライブ。とにかく、Sおんちゃん、素直に心を動かすこと。それができなければ、役者にはなれない。
殺意。殺意の実行、後悔、開き直りまで。M本、さらにオリジナルなものが観たいんだな。Kちゃん、もっと表現してほしい。Sおん、まったく駄目。
「嫌悪」「別れ話」エチュード連発。まず持たなければならない感情。Kちゃん、M本はよく持てている。ただ、まだ弱い気がする。Sおんの泣き真似、だか ら、本物の役者になろう。ごっこ遊びじゃないんだから!実感。M本の冷たい顔が中身を伴ってきたので、鋭くなってきた。いいぞ。もっと斬りつけてきて。
次は歩きからの煽り、15連発。Sおんが「煽り」の質問をしてくる。稽古は課題を己で理解し、咀嚼できなければお話にならない。答える。開始。
Kちゃん、M本は瞬発力のあったシーンと甘かったシーン、それぞれに感じたはず。Sおんちゃんは全然できない。やっていかなければ、稽古が成立しない。芝居しかない人間が集まりたい。もっと芝居に執着してほしい。
さらに懇願15連発。瞬間的に気持ちを切り替える訓練でもある。本気でかからなければ懇願にならない。Kちゃん、M本、それぞれに感触を想い出してほしい。
再度正対煽り連続。Kちゃんの集中力、いい。M本の純度もあがった。失敗が確実に減っている。継続の成果だね。
次はエチュード。「奇妙な部屋」帰宅した部屋、そこへの侵入者。
まず日常動作から発見。Sおんちゃんにリアリズムを叩き込みたい。シーンが進まない。止める。アドバイス、して再度。少しずつ成立してきた。ただ、驚きと か恐怖とか嫌悪とか、、当然見えてきたい感情が逃げていくのが惜しい。そのあたりをもっと細かく埋めたい。日常動作に戻ろうとする動線がどうしてもほし い。そこから、さらなる違和感が出したいのだ。
最後は相関図。Kちゃんがよかった。M本の「好きなんだよ」が効いた。
劇的なるものを求めて、求めて、求めていきたい。
Kちゃんの心構えが変わったのか、昨日のKちゃんには恐れ入谷の鬼子母神!
続けてほしいものだ。
役者、ユダンしないことしかないと想うのだ。
さらに稽古は続く。一生、稽古する。