2010/02/08
予想もしなかった表現を観た時、嬉しい

開かれた稽古場だった。本番の稽古突入を控えた役者二人が最終確認に参加、他1名、見学1名。今回は稽古に入る役者に感情と表現と台詞を確認して貰えるようにプログラムした。
激しい感情。そして、表現するということを掴む為の課題。「強い怒り」
歩きからスタートして、怒りを右上がりに客席にわかるように上げていく。かならずピークを創り、さらにそのピークで他者と共有し、強い怒りのぶつかり合い を見せるまで。激しい感情は体力もいるし、精神力もいる。そこで加減をしてしまう。予想をした限界点ではつまらない。1本目。M本はよかったが、ピークが 物足りない。Hでは確実に感情を動かしてはいるが、表現として弱い。ぶつかりあいは激しくてよかったが、まだまだ物足りない。
続いて「嫌悪」から「憎悪」まで。
数多ある感情への意識。嫌悪で絡み、憎悪で絡む。Hでの嫌悪がよかった。M本はHでを受けたことで感情が違う感情になってしまった。
憎悪。悪しく憎むという非常に突出した強い感情をどうやって生み出していくか。想像し、感情を創り出す。突出した感情ほど日常レベルでは難しい。状況をいかに想像していけるか勝負。観客席が震えるような感情がみたい。
遅れて参加のHろを加えて、再度「強い怒り」Hろの感情が失速してしまうので、止める。予想のできる流れはつまらない。役者が調整していることが見えても つまらない。自由にかっとンでみること。M本、Hでは2本目でかなりあがってきた。琴線揺さぶる瞬発力がよかった。Hろの脱力からの参戦に疑問。
感情を動かし続けることという意味で言えば、持続がまだまだできていない。
殺意の表現。殺意を感情と身体で表現してほしいのだが、3人とも無対象行動でしかなく、面白くない。さらに集中し、表現するためにミザンスを決める。正面 を向いての表現。M本、素晴らしくよかった。次に何が起きるのか予想ができない表現。Hで、よかった。息づかいと感情による表現。Hでは心が柔らかくて、 非常にいい。Hろは、切り取ればよい表現があるが、表現と表現の間が途切れてしまう印象。3人が同時多発で表現した場合、弱く細いものに見えてしまう。ア ドバイス。さらに求めれば、声の表現がどの役者にも希薄な気がした。声は表情豊かな表現を産めるのに。
歩きからのシーン作り。シーンを創っていく時の自由さ。劇的なシーンがみたい。3本。1本目、Hでから最初に持てた状況の実感が消えてしまう。止めてアドバイス。人間のリアリズムという側面から話をする。
2本目、なんだっけ?想い出せない。3本目。Hろが状況に入り込めなかった。エチュードはその状況にいかに入っていけるかしかない。否定をはじめるとシー ンがループしてしまう。Hでの乗り方はとてもよかった。M本アイディアの状況が何だかよくわからなかったが、まあ、面白くはなりそうだったかな。
奇妙な部屋。今回は日常の実感と他者への反応を話してから、少しずつ止めアドバイスを繰り返したのちに1本。Hでの選択ミスがあったが、やっとこのエ チュードが実感もあり、面白みもある、さらには混線し、混乱も見えるシーンになった。求めてきたものに近づいてくるととても嬉しい。諦めず、繰り返すこと だなと納得してしまった。
さらに面白い、表現としての日常、表現として言葉選びに拘っていければ、まだまだ埋まったシーンになるだろう。
見えないものが見えてくる等も面白くするひとつの要素。
台詞。ピンター作品。男ふたり芝居。挑戦。まず言葉と戯曲を理解するために
交互に三人読み。
続いて2人ずつ。おやおや、台詞が弱いなあ。3人ともまだまだ台詞を台詞としてしまうので、出る音が一定で全然駄目。感情という戯曲ではないので、言葉を 話すという意識が持てないのだな。いやはや、弱点だ。今後、台詞も強化していかなければと想った。戯曲を読む時、台詞を読む時、掴まえどころがある。それ はアクセント云々ではなく、ひとつの台詞の中にある掴まえどころ。
それを掴んでいけば、抑揚もアクセントも後からついてくる。それが芝居の言葉、ではないかな?どう読むかではないってこと。
この戯曲も面白い。またやってみよう。
最後に恒例相関図。無対象で。最後に駄目だしをしたが、愛情不足。言葉の応酬がみたいのではなく、気持ちの動きが混交するシーンが観たい。
チャラ男でうんざりちゃん。
以上。